月次アーカイブ: 4月 2016

 ネット上の画像ではあるが、飛翔中の孔雀の姿を初めて見た(※注1)。動物園でしか目にする機会のない孔雀は大抵檻に入れられていて、見られるのは歩いている姿くらいだ。翼があるのだから飛ぶのだろうけどその姿を想像したことはなく、「ああ、飛ぶのか。飛ぶのだなぁ」などと間の抜けたことをぼんやりと考えた。

 孔雀のように色鮮やかな鳥に、極楽鳥がある。スズメ目フウチョウ科の総称で43種あるとされる。いずれも極彩色で、その美しさは極楽にでも住んでいるかのよう。
 極楽鳥には面白い伝説がある。この鳥には足がない(※注2)ため、いついかなる場合でも飛び続けねばならず、地上に降り立つのは死んだときのみ、というものだ。

極楽鳥 ながたみかこ

 また、極楽鳥の別名は「風鳥」という。風を食べて生きていると言われていたのだ。まるで、霞を食べて生きているとされる仙人のようではないか。風を食べて生き続け、間断なく飛び続け、極楽に旅立ったときにようやく翼を休めて地上に降りることを許される――極楽と名乗るに相応しい伝説である。私は極楽鳥のこれらの伝説が大好きだ。

 孔雀は身の危険を感じると走りだし、そのまま飛び立つのだという。極楽鳥が地上に降り立つことが稀なように、孔雀が飛ぶことも稀。孔雀もひとたび飛び立ったら、命尽きるときまで穢れた地上に降り立つことはないのではなかろうか。だからこそ、めったなことでは飛ばないのではないだろうか。そんな妄想にとりつかれるほど、飛翔する孔雀の姿は美しかった。(了)

--------
※注1:飛ぶ孔雀の画像はこちらへ→ http://www.boredpanda.com/flying-peacocks-mid-flight/
※注2:本当は極楽鳥には足がある。足がないという伝説が生まれたのは、捕獲されて足を切られた姿の極楽鳥が民芸品等で出回ったからだとされる。
--------

 

LINEで送る
Pocket