買おうか買うまいか、悩まずにはいられない辞典がある。それは『罵詈雑言辞典』というもの。私は純粋に「読み物」として辞典が好きなのだ。 この『罵詈雑言辞典』だが【デブ】 【むっつり助平】 【いかず後家】 【売れ残り】 【甲斐性なし】などが載っているらしいが、1200語も記載されているというのに、例としてピックアップされるのがこの程度の悪態だということを考えると内容はちょっと期待できないかもと思うのだが……でもやっぱり気になる。 私だったら、どんな単語をセレクトするだろうなあ。【くさっ】みたいな、とても短い語が悪口としてキツいように思う。なんだか感嘆詞に近い印象じゃない? 天を仰いで「おお~」のような絶望感が漂うじゃん? 昔から子どもの間で交わされる言葉に「お前のかーちゃんデベソ」というものがある。私も以前友人に「お前のかーちゃんデベソ」と言ってやったことがある。以前というのは、大人になってからのことである。大人になってもそんなことを言っている私なのである。 そのとき友人は「そこは急所だ」と答えた。「母親はデベソじゃないけど、そこは言われたくない部分」なのだそうだ。意味がよく分からないのだが、母親の悪口はやめてくれってことだろうか。 ちなみに他の知人も似たような反応をした。「お前のかーちゃんデベソ」と言うと「違います」と即答されたのだ。この「お前のかーちゃんデベソ反応」とでも呼びたくなる返答はなんだろう。親を思う子の心だろうか。一度、皆さんのまわりでも試していただきたい。「お前のかーちゃんデベソ」を。 ……で、『罵詈雑言辞典』買おうかなあ、どうしようかなあ。(了) |