クリスマスツリー

 ジングルベル ジングルベル♪
 もうすぐクリスマス。いろんな場所でクリスマスツリーを見かける。お店はもちろん、道路わきに植えられた木々、一般住宅のお庭。大きいの、小さいの。シンプルなもの、電飾してあるもの……。
 私が子どもの頃には、大きなお店などではツリーを見かけることはあっ たけれど、どこに行ってもある、ということはなかった。庭先でイルミネーションが見られるようになったのはいつ頃だったろう。
 日本で始めてクリスマスツリーが登場したのは明治19年12月7日。 (現在は『クリスマスツリーの日』とされている)外国人船員のために横浜市でツリーが飾られた。ツリーを目にした外国人船員は祖国のクリスマスを思い出し、日本人たちは、異国のロマンチックな文化にうっとりしたことだろう。
 それから117年の時を経て、現在。クリスマスツリーは珍しいものでもなんでもなくなった。当たり前に12月を彩るモノとして認知されるようになった。これだけ一般家庭の庭にツリーが出現するようになったのだから、そろそろモミノキたちも進化を始めるかもしれない。
クリスマスツリー
 新種発見!
モミノキ科クリスマス属ツリー種「クリスマスツリー」なんていかが?
 青々とした葉を茂らせるだけだった木が、12月に入ると小さな玉のようなものを沢山つけ始める。小さな玉は徐々に大きくなり色とりどりの光を放つようになる。丸から形を変えて星型や靴型になるものもある。最終章はてっぺんにつく星。小さな丸が少しずつ変形し、12月24日にひときわ大きい完璧な星型になる。クリスマスツリーの完成だ。
 しかし、そこには難関がある。一年間、その木を愛し育ててきたという歴史がなければ、ツリーに姿をかえてはくれない。注がれた愛情が少なければ飾り(?)も少なく、愛情をたっぷり受けて育ったなら、ひしめき合うように飾りを実らせる。
 そんな日も遠くはないかもしれない。ジングルベル ジングルベル♪ (了)