FIRE WORKS Ⅱ

FIRE WORKS Ⅱ
英詩画作成:2000年(水彩・ガッシュ)

FIRE WORKS Ⅱ

夜空に咲く花を見るとき

貪瞋痴の衣を脱ぎ捨て

至純の魂 蘇らせる

その刹那

僕は人が好きになる


 私には「書く」という仕事だけで食べていけない時代があった。 普通に会社に勤めながら、ライティングの仕事も受けているという時代があった。

 でも常に思っていた。 「書くことだけをしていたい」 と。 「書くことだけで生きていきたい」と。だから、まだ食べていけるほどの依頼はなかったのに、 あるとき私は会社を辞めた。

 会社勤めをやめてしまっているというのに、 ひたすら書かねばならないというのに、 のにのにのに! 仕事をやめてからというもの、書けなくなる日々が続いた。
 書いて書いて売り込んで売り込んで……ということをしなければ、 「書くことが仕事」と言えるレベルに達することができないことは 分かっていた。

……しかし、書けなかった。 そんなスランプのときに、当時恋愛中だった人と花火大会に行った。 ポケ~と花火を見ながら、周りの人をふと見渡すと、 みーんなポケ~と夜空を見上げていた。

 この詩が浮かんだのは、その時だった。

 夜空に咲く花を見るとき/皆/貪瞋痴の衣を脱ぎ捨て/至純の魂/蘇らせる/その刹那/僕は人が好きになる

 そして、この詩が浮かんだ直後、 ツキモノが落ちたように、いきなりスランプを脱出した。 私はまた猛烈に書き始めたのだ。 あのときの花火は神でも宿っていたのだろうか。(了)