切ない。 毎年この時期(秋)になると、わけもなく感傷的になる。 日が短くなり、ああ切ない。澄んだ空に、ああ切ない。透き通った空気が、ああ切ない。ここの所、まったくもってセンチメンタルだ。 秋になると理由もなく切なくなるのは私だけなのだろうかと友人たちに聞いてみたことがある。答えは、大体私と同意見であった。 現代は人工的に陣痛を起こさせて出産することもあるが、近代医学が発達するまでは人は何故か満潮のときに生を受け、干潮のときに息を引き取った。満月の夜は事故が多くなるというのは通説であるし、いささか不謹慎ではあるが台風の前など妙にテンションが上がるのは、動物が騒ぐのと同じ原理であろう。 植物が葉を落とし、虫たちが姿を消す秋。植物の生死と同じく、人も秋冬は背や髪が伸びる速度も遅く、抜け毛も数を増やす。例外もあるが、冬は自然界にとって死の季節なのだ。ここで、声を荒げていうまでもないが、人間は自然の法則・宇宙のリズムと密着した動物なのである。 冬。動植物にとって死の季節。人間にとっても、原始時代においては死と対峙しなければならない季節だっただろう。 以上、これはあくまで仮説である。 読者諸賢。そうかと納得し、今がチャンスと異性にアタックして見事振られたとしても、私に責任の所在はないことを最後に明記して筆を置く。(了) |