虫はなかなかグルメなヤツである。 我が家の花壇および家庭菜園に植えられている色々な植物の中で、ヤツらが食べるのは青しそとバジルだけなのだ。しかも一枚きっちり食べ尽くしてから次の葉に挑めばよいものを、次々と新しい葉を食い荒らす。 蓼食う虫もすきずきと言う。うちには蓼も生えているが、蓼に手を出す(口を出す?)虫などいない。本当に蓼を好きな虫などいるのか? という疑問さえわいてくる。 それにしても腹が立つ。 ……虫は虫の言い分もあろう。 私は以前、虫を殺すことに抵抗があった。文字通り、蚊さえ殺さぬやつであった。しかし、今はそんな抵抗など微塵もない。自分でも驚くほどだ。 それはさておき、虫どもよ。私をなめてはいかん。この世は弱肉強食なのだ。ははん!! 覚悟せよ!! みんな潰してやるう!! 私は思う。 いわしやサンマではなく、うなぎを盗む猫。和洋ハーブの新しい葉に次々と口をつける虫(虫どもは飽食なのか?)。 そう、とかくグルメなヤツは図々しいのだ。 そこで私に意地悪な考えが浮かぶ。 グルメな猫がほうきで追われ、グルメな虫が潰されるのと同じく……グルメな人間も、それを不快に感じる生き物からやられちゃうのではないかしらん。自然界というものは空恐ろしいくらい同じ原理で回っておるからねぇ。 楽しめるうちに楽しんでおきたまえ、グルメな金持ちどもよ! という負け惜しみじみた捨て台詞が、今回のオチなのであった。(了) |