クモの糸 ヒトの糸

 今日、クモがせっせと糸をはっている場面を見た。

 チョウやトンボなど、色んな虫をとらえるクモの巣。なぜクモは自分の巣にひっかからずに、巣の上を自由に歩けるのか。

 クモの巣はねばねばした糸と、ねばねばしていない糸で作られていて、ねばねばした糸が虫をとらえる。簡単に言えば、クモは足から脂肪質のものを分泌してるため、ねばねば糸の接着作用がきかなくなるからだ。
……ねばねばねばねばとウルサイですな。すみません。

 ヒトも時折、このような糸を張る。
 次の仕事につながるようにとの作戦だったり、恋が実るようにとの作戦だったり。あるいは、他人をおとしめるための糸をはりめぐらす人もいるかもしれない。

 ところが困ったことに、クモと違い、ヒトは自分の糸にからまってしまうことがある。どれが粘着糸だったか忘れてしまい、うっかり触れて自ら罠にはまって身動きできなくなってしまう。

 糸を張るときは、自分がひっかかってしまうことのないよう、慎重に。他人をおとしいれるような糸を張らないよう、慎重に。(了)