混乱させるネーミング

 初めて耳にしたとき、衝撃をうける言葉というものがたまにある。
 子どもの頃「ごきぶりダンゴ」という言葉を聞いたとき、腰を抜かしそうになった。ゴキで作られた団子だと思ったのだ。そのさまを想像して卒倒しそうになった。事実を知って、ほっとした。

 その後、歳を重ねて「カブトムシゼリー」という名前を聞いたときも驚いた。実際、滋養強壮に良いとかいう「カメゼリー」もあるわけだし、カブトムシの入ったゼリーだと思っても、なんらおかしくはないだろう。なんせ私が子どもの頃には、カブトムシゼリーなどというシャレたものはなかったのだ。
 しかし事実はカブトムシのエサだった。それにしても、カブトムシに与えるゼリーって……!? どんだけカブトムシを甘やかせるのよ? そのうちカブトムシ界にも飽食時代がくるよ?

混乱させるネーミング
 
「カメゼリー」はカメのエキスが入った、人間の食用ゼリー。
「ごきぶりダンゴ」はごきぶりの食べる殺虫団子。
「カブトムシゼリー」はカブトムシが食べるエサゼリー。
 間違えてはならない。

 先日ネットで「烏骨鶏カステラ」なる商品名を見た。上述の二件で学んでいるため「ええっ? 烏骨鶏が食べるカステラ?!」と思った。よく見てみると、烏骨鶏の卵で作ったカステラだということが分かった。ならば「烏骨鶏卵カステラ」と言って欲しい。「卵」って一言つけといて欲しい。びっくりしたなあ、もう。

 で、昨日「とっとこハム太郎カレー」なる名前を見た。これは、ハム太郎が食べるカレーなのか、それともハム太郎が入っているカレーなのか……。もう、なにがなんだか、訳がわからない。(了)