オヤジ狩り

 10月といえば秋。秋といえば紅葉。紅葉といえば紅葉狩り。
 「紅葉狩り」という言葉を最初に聞いたのはいつだったろう。多分、小学校低学年くらいかと思われるが、てっきり、紅葉をとりにいく行楽かと思った。その意味を知ってからも、なんとなくしっくりこない言葉だった。

 紅葉の鑑賞に「狩り」が使われる理由は諸説あるようだ。その昔は、紅葉を持ち帰っていた説。紅葉を追い求める姿を、狩りに見立てた説。動物の狩りから食べ物の狩りに転じ、鑑賞も狩りというようになった説。
 まあ、私としてはどれでも構わないというか、正解には興味がない。

 今はラベンダー狩りやあやめ狩りなどいう言葉も使われる。それはやはり、鑑賞する行為であって、狩猟を指すのではない。
 潮干狩りは、遠浅の海をボケーっと見に行く行事。
 みかん狩りやぶどう狩りは、樹木の観察。
 いちご狩りは、ビニールハウス見学を指す。

 そして、オヤジ狩りは、中年の男性の魅力を鑑賞すること。
 あれ? どこかから違ってるだろうか。
 まあ、私としては、どこから違ってても構わないというか、正解には興味がない。(了)