今日、電車で、宇津井健にそっくりな人を見かけた。私の頭には、知る人ぞ知るマニアックな回文が浮かぶ。 「宇津井健氏は神経痛」(うついけんしはしんけいつう) どうしよう。 笑いがこみ上げてくる。 うついけんしはしんけいつう なぜか、途中で「ほい」という合いの手まで入ってくる始末だ。 そっくりさんは、本物と同様、汗かきのようだった。 額ににじんでいる汗を拭くのだが……、 その汗を拭くのはハンカチではなかった。 手でもなかった。 開いた文庫本で拭いているのだ。 汗かき。 おおっと? 「オレ汗かき、貸せ、あれを」 (おれあせかきかせあれお) そんなわけで、そのあとしばらく頭の中で回文づくりを楽しんでいた。気付くと宇津井健はいなかった。 うついけんしはしんけいつう の合唱が頭の中で再開されるのであった。 たっ、たすけてくり~!(了) |